認知症レポート
家族

親の認知症が心配という方へ 早期発見で変わる今後の生活

もしも親が認知症になったら

もしも親が認知症になったら――考えただけでも胸が締めつけられるこの事態は、決して他人事ではありません。今、大きな社会問題になりつつある介護離職問題。40~50代になれば、親の認知症に直面する人が出始めるため、職場などの身近な場所で介護離職を目にする機会もあるかもしれません。

クロスマーケティングの調査によると、家族が認知症になることの不安はあるかとの問いに対して、不安があると答えた人は66.8%でとても高い結果になっています。

グラフ

また、このグラフを見てもわかる通り、日本全国で認知症高齢者数は約462万人。高齢化が進む今、2025年にはその数が700万人を突破し、65才以上の5人に1人が認知症になるといわれており、今後さらに増えると推測されます。これはまさに自分事として近い将来にやってくる現実として捉えざるをえません。

認知症の将来予測グラフ

認知症には治療方法がない?!

認知症の治療は世界的にも大きな課題で、日々治療法や治療薬の研究が進んでいます。残念ながら認知症には未だに確実な治療法はありません。そのため認知症には長い年月をかけて向き合わなければならず、患者本人が苦しいのはもちろん、その家族の精神的負担は計り知れません。また介護に対する公的支援はあるものの、その中で十分に賄うことができないこともあり、経済的な負担も家族は直面せざるをえません。

治療とお金

治療方法がないからこそ認知症対策において重要な「早期発見」

MCIグラフ

認知症は早期の段階で適切な治療を受けることで症状の進行を遅くすることや、症状を改善することができることをご存じでしょうか?

認知症の進行過程には「MCI(軽度認知症)」というものが存在します。MCIは認知症の前段階と言われており、このタイミングで治療を開始することができれば、治療効果も高く、最後まで認知症につながらないケースもあるのです。しかしMCIの時期を見逃してそのまま放置をすると、50%の確率で認知症を発症するとされています。

そのためどれだけ早い段階で変化に気付き、治療を開始できるかが非常に重要と言われています。

しかし実際には認知機能が低下していることに気が付くことも難しいため、早期発見が出来ないケースも多いのです。なぜなら認知機能の低下はある日突然始まるものではないですし、認知症を発症したとしても「いつもおかしい」わけではないため、周囲がなかなか気づけないのです。さらに離れて暮らしている場合はなおさらです。電話やメールのやりとりでは軽度の変化に気が付くことが非常に困難なのです。

では、諦めるしかないのでしょうか?いや、諦めなくても大丈夫です。

「認知症かどうか」を早期発見するためのヒントが最近の調査で分かってきたのです。

悩む

最近の研究で分かってきた。匂いが早期発見のヒント

驚く方もいるのではないでしょうか。実は認知症の最初の症状は、嗅覚障害から始まるということが、最近の調査で分かっています。

認知症の症状は物忘れや記憶障害として現れますが、早ければ認知症の症状が現れるよりも10~20年前から加齢によるもの以上の嗅覚障害が出ている、という調査結果があります。

そのため嗅覚の衰えに気が付くということは、認知症の超早期発見につながり、発症予防を講じることができるのです。

なぜ嗅覚から衰えていくのか?匂いを感じるメカニズムとは

匂いを感じるメカニズム

嗅覚と認知機能は、なぜ密接に関わっているのでしょうか。

匂いを認識するためには脳の働きが大きく影響します。

まず匂いの分子が鼻腔内の粘膜に付着することで電気信号となり、脳に刺激として伝わることで匂いの情報が認識されます。

香りで昔の記憶が蘇った経験はないでしょうか?

それは匂いの刺激によって、記憶を司る「海馬」という脳の中枢器官が刺激され、過去の場面を思い出すからと言われています。

つまり、嗅覚直接脳とつながっていると言えるのです

その記憶をつかさどる「海馬」が萎縮することにより起こるのが、認知症の症状である記憶障害です。日本でもっとも多いアルツハイマー型認知症では、脳の外側にある「嗅内皮質」が海馬よりも前に冒されることがわかっています。「嗅内皮質」については、嗅覚に深く関わっている部分のため、認知症の症状である記憶障害よりも先に、嗅覚の低下が症状で現れます。

これが嗅覚の低下が認知症の早期発見のきっかけと言われている理由です。

下の図は第18回日本早期認知症学会で発表されたデータです。

認知症患者と健常者とでさまざまな種類の匂いを感知する実験データですが、認知症患者の正答率が圧倒的に低いということがうかがえます。

匂いの正答率

もちろん、加齢とともに五感の機能は弱まっていきますが、こと、嗅覚の衰えに関しては認知症の兆候を疑った方がよいかもしれません。

そして驚くべきことは、嗅覚障害は認知症になる10年以上前から徐々に衰えていくということです。本人はもちろん周囲も気づく前からこの兆候は始まっているのです。

まずは手軽な匂いの検査の実施を!

このように、嗅覚が正常であるということは神経細胞が活性化しているため認知機能が正常に働いているということです。

そのため嗅覚の衰えは、認知機能が低下しているというサインなのです。

近親者が認知症かどうか疑わしい場合や、ご家族の早期発見に努めたい場合などは、この嗅覚サインを見逃さないように、まずは手軽にできる匂いの検査をしてみることをおすすめします。

認知症は早期に発見する事で、症状を遅らせる事や改善することが出来ます。

ご家族の幸せの為にも、その一歩をぜひ踏み出してあげてください。

手を取り合って
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